日曜日, 26 of 3月 of 2017

[電子書籍]iBooks1.5のトラブルと関連リスク

昨日(2011年12月7日)iOSのEPUBリーダーアプリ、iBooksがver1.5にアップグレードしました。
アップグレード後、ライブラリ画面で特定の書籍が表示された瞬間にiBooksが異常終了する、という症状が見られるようになりました。
色々チェックしているうちにその書籍は特定できたのですが、本当にその書籍が原因でアプリが落ちたのかが不明でした。
前バージョンでは大丈夫だったものがアップグレード後にトラブルが発生するようになったので、基本的にはiBooks1.5のトラブルと認識していますが、本日(12月8日)に落ちる原因となったEPUBの制作サイドからアナウンスがありました。

→GIHYO DIGITAL PUBLISHING 「iBooks 1.5のバージョンアップによる問題とその対応について別ウィンドウで開きます

EPUB 2互換のEPUB 3書籍を含む電子書籍のストアを独自に開始されたGIHYO DIGITAL PUBLISHING(以下「GDP」)さんの書籍ですが、先述のように私はiBooksの問題だと思っているので、GDPさんには同情的な気持ちを持っています。
とはいえ、 GDPさんとしてはできるだけの対処をする必要はあり、アナウンスの中でも技術的な対処法も記載されています。

  • 原因1: EPUB内のナビゲーションドキュメントにおいて、(かつtoc nav要素において)プレースホルダとしているa要素があるとつまずく。
    [対応策:<a>目次</a>を<a href=”toc.xhtml”>目次</a>へ変更]
  • 原因2: EPUB内のナビゲーションドキュメントにおいて、Gihyo Digital Publishingで利用しているohter nav要素があるとつまづく。
    [対応策:ナビゲーションドキュメントにおけるnav.landmarks要素の削除]

分かる方は自分ですぐ対処してもらい、一般読者の方には修正版を配布する、というスタンスでしょう。
iBooksが現行の仕様のままだとすると、 GDPさんがアナウンスしてくださった技術情報はEPUB制作者が共有すべき有用な情報となります。是非抑えておきたいところだと思います。

また、本件ではGDPさんの中で規格化されているナビゲーションドキュメントにiBooksから嫌われる部分があったために、既刊のEPUB書籍全てを修正・再配布する必要が出てきます。
現在で言えば点数は多くないと思うので比較的対応は迅速に行えると想像しますが、先々書籍点数が増えた場合のことを考えると少々不安がよぎります。

ただ、この手のリスクはアプリタイプのものの方が潜在的に大きく、OSのアップデートがあると大抵の場合に対応が必要になります。
対応の手間やコストもEPUBの場合に比べると大きくなるでしょう。
ということで、アプリタイプの電子書籍はもちろんのことEPUBであってもリーダーアプリやOSのアップデート時にはその都度リリースしたものについてチェックが必要になってきます。
特にOSのアップデート時のチェックは見落としがちな気がするので要注意です。
個人的な経験では、iBooksのアップデートはアプリ自身の挙動に関する部分、OSのアップデートではレンダリングに関する部分に影響があることが多いように感じています。

ということで自分への注意をこめて久しぶりのブログを書いてみました。


[電子書籍]iBooks1.3.1→1.3.2の地味にいいトコ

すっごい久しぶりのブログです。

iOS5がリリースされてから既に2週間ほど経過しました。またiOSのリリースとともにiBooksも1.3.1から1.3.2に更新されました。
iBooksについてはEPUB3への対応具合が注目されましたが、ガッカリな状況のようです。

その間私は自サイトで電子写真集『―湘南・吾妻山―』のリリースに向けて準備をしていました。
たまたまその作業を通して気づいた、1.3.1から1.3.2へのアップグレードの地味に評価できる点を紹介します。

1.ルビのある行の行送り

1.3.1ではルビのある行の行送りが変に広いという問題がありました。

1.3.1では行送りが他の行より広くなる ↑1.3.1の場合

これに対応するためにCSSで調整をしていたのですが、1.3.2では解決していました。

1.3.2では適切な行送りになっている ↑1.3.2の場合

ちなみにCSSで調整したのを1.3.2で見てもモチロン問題なしでした。

2.固定レイアウトモードでの見開き表現

近い将来、EPUBでも正式に仕様化されるであろう固定レイアウトが、iBooksでは独自方式で利用できます。
今回の写真集では、写真をなるべく大きく見せたかったので、固定レイアウトモードで見開き表示するようにしました。
その際に、1.3.1では見開きの左右ページの継ぎ目がピッタリ合わない問題がありました。

1.3.1では継ぎ目がズレる ↑1.3.1の場合

もしかしたらこれは作り方の方の問題かとも思いましたが、1.3.2では症状が見られなくなったのでiBooks側の問題のような気がします。

継ぎ目がキレイに合っている↑1.3.2の場合

こちらの問題は、仮にCSSで無理に表示を合わせていたら1.3.2では逆にずれてしまっていた可能性があるので、結果的にセーフだったかと思っています。

EPUB3正式対応は近いうちに期待したいところですが、こうした地味なところの調整は現場(?)レベルでは結構ありがたさを感じるのでちょっと書いてみました。


[書籍/電子書籍]書籍の執筆について3


もう少し短いスパンで更新しようと思いつつまたもや1ヶ月近く経過してしまいました…。
さて、前回の続きを。

本書(『デザインの学校 これからはじめるFlashの本別ウィンドウで開きます』)では、手順と台割を事前にしっかり決めるので、執筆は概ねその流れに沿って進めていけばいいわけです。
とは言え実際に書いてみると、1つのステップに入れようと考えていた作業が入りきらなかったり、逆に思ったより短いステップで済んでしまうといった事態が起こります。
こういった部分はある程度執筆時に調整するものの、レイアウトされた結果ページ溢れや余白といった解決すべき問題となります。
ページ溢れは文章を削ったり、手順を変更するなどして分量を減らすことで対応します。
半ページ以上の余白はコラムなどを入れて対応します。
こういった分量の調整みたいな部分は電子書籍ではあまり問題にならなそうです。
逆に、紙の本では余白を埋めるために追加したコラムのようなものも入れなくて済んでしまうことになります。
電子書籍が紙の本を電子化するのであればコラムなども含めて電子化すればいいのですが、個人出版などで電子版のみを作る場合は意識して追加することになるでしょう。
コラムなどは読者の立場からすると、なんとなく得した気分になるので(なりますよね?)頑張って入れたいことろです。
ちなみに本書の場合、コラムは大小合わせてたしか6つか7つぐらい書いた気がします。
コラムは本編の執筆終了後レイアウトの結果必要な数が判明します。本編終了してややホッとしているところの追加の原稿になるので、個人的には結構シンドイものがあります。
しかも、コラムを入れる場所に合った内容と分量にしないといけないので結構頭を抱えることになります。

そんなこんなで校正を繰り返し(本書では初校、再校、念校と3回行っています)、書籍自体は概ね仕上がります。
本書ではもう1つ、教材データの確認をしなければいけません。
最近の技術書では、サンプルデータの類は大抵Webからのダウンロード方式が主流です。
コストを抑えることもできますし、データは書籍が発売されるまでに整理すればいいので多少時間の余裕も持てるからでしょう。
しかし本書ではDVD-ROMを付属するので書籍と共にデータも仕上げておかないといけません。
本書ではCS4/CS5両対応なのでそれぞれに教材データを用意しています。また、Mac/Winでもテキストフィールドの行間などそれぞれの環境で値が異なるので別々のデータを用意しています。
つまりCS4/CS5それぞれにMac用/Win用のデータを用意したので計4通りの教材データを別個に用意しました。
Amazonでの予約が始まってからも、フォルダ構成などギリギリまで調整していました。
実際、このシリーズのエントリの第1回を書いたその日も教材データをいじっていたのでした。

今回の書籍ではかなり編集さんに甘えさせていただいた部分が大きく、仮に自分一人で電子版を出すということを想像すると結構ゲンナリします(スクリーンショットも全て用意してもらってしまいました)。
恐らく、個人出版を考えた場合、次のような点が大きな注意点になるのではないかと思います。

  • スケジュール管理
  • 品質管理(単純な文言のミスから構成、内容まで)
  • 配信/決済
  • プロモーション
  • 顧客サポート

他にも色々ありそうですが、売り物としての電子書籍を個人で出すというのは中々の大仕事のように思います。また、出したら終わりというものでもなさそうで、その後のサポートなども必要でしょう。
個人的にはそこに臆するよりも、注意点を認識した上で進んでみたい気持ちがあります。
「販売」できるようなものができるかは分かりませんが、何はともあれ動いてみようかと思っています。

さて、今月下旬にはロクナナワークショップにて「電子書籍ファイル実制作入門講座」を担当させていただきます。
ePubファイル制作について、iPad、iPhone、Androidなどのリーダーアプリを考慮した作成方法を扱っていきます。
よろしければご参加ください。
開催:11/27(土)

時間:11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
内容:→こちらからご確認ください別ウィンドウで開きます


[書籍/電子書籍]書籍の執筆について2

さて、早いもので前回のエントリから2週間以上経過してしまいました。
では早速続きを。

本書(『デザインの学校 これからはじめるFlashの本別ウィンドウで開きます』)の台割を考えるにあたって、ポイントとなる方向性を振り返っておくと次のようなものがあります。

  • 初心者・未経験者向け
  • CS4/CS5両対応
  • 概念的な部分はある程度最初に扱う
  • なるべく手を動かすようにする
  • 全体で1つのサンプルを段階的に作っていく

さて、構成案を台割に落とすにあたって、途中のステップとして詳細な構成案を作りました。
ちょっと整理すると…

  • 構成案:章+節
  • 詳細な構成案:章+節+節での作業の箇条書き
  • 台割:詳細な構成案を具体化してページ単位に割り当てたもの

という感じです。
台割では詳細な構成案の「作業の箇条書き」の内容を、実際の手順を追ったステップで具体化します。
例えば1つ例を挙げると次のような感じです。

■詳細な構成案:
章:サンプルサイト制作
節:オープニングアニメーションの作成1
作業内容:
・レイヤー名の設定
・テキストツールによる静止テキスト作成
・テキスト入力/フォント関連の設定
・グラフィックシンボル化
・モーショントゥイーン作成
・スタート位置・ゴール位置の調整
・イージングの設定
・モーションパスの変形(直線→曲線)
・フレームレートの変更
↑これが↓こんな感じに

■台割案
章:ロゴアニメーションを作ろう
節:アニメーションを作ろう
作業内容:
1.スタートファイルを開く
2.ロゴ画像ファイルを読み込む
3.ムービークリップとして読み込む
4.モーショントゥイーンを作成する
5.フレームの長さを調整する
6.移動終了位置を設定する
7.移動開始位置を設定する
8.減速効果を設定する
9.動作を確認する
10.フレームレートを変更して動作確認する
11.フレームレートを元に戻して保存する
(以上4ページ分)

実際には詳細な構成案も台割案も、何度か行ったり来たりして調整します。
個人的には、何も書いていないうちにかなり細かいところまで詰めるのはちょっとストレスがたまるのですが、このプロセスはかなり重要な部分でもあります。
その理由の1つは、出版社と著者は必ずしも同じ方向を向いていないという問題点があり、それを是正するのに役立つからです。
例えば、出版社はマーケティングやシリーズ構成の観点から書籍内容のビジョンを作り、著者は自分が提供したい形で書籍内容をビジョンを作ると、それらは大抵一致しません。
ある程度の方向性を事前にすり合わせていてもビジョンの乖離は出てくるものです。
そういったところを各段階で、案を叩いていくことでビジョンを共有できるようになっていきます。

ちなみに、前回も書きましたがここまで緻密な事前のすり合わせってどの出版社のどの書籍でも行われることではありません。
私が執筆させていただいた書籍の中には、著者の自由度が高く内容についてはあまりすり合わせの無いものや、ページ数が当初予定していたものから100ページ以上も急遽増加したものもありました。

なにはともあれ、本書では台割に落としこむまでがかなりの大仕事でした。
執筆自体は台割をなぞって手順を書いていくだけ…と思いきや実際にはそうでもなくやはりそれなりの苦労もあるわけです。
その辺りは次回に。

さて、また告知です。10月からスタートした電子書籍系セミナーの第2回です。
場所:m-School別ウィンドウで開きます
日時:11/6(土)
時間:13:00~16:00
料金:5,250円 (税込)
内容:→こちらからご確認ください別ウィンドウで開きます
第2回はやや制作よりの話をするつもりです。ここで書いているような紙の書籍の執筆に関する話もしてみようと考えています。

2010.11.8追記:無事終了しました。


[書籍/電子書籍]書籍の執筆について1

 
久しぶりのエントリですが、少々宣伝ぽくなってしまうことをご容赦ください。

Flash CS5の書籍『デザインの学校 これからはじめるFlashの本別ウィンドウで開きます』がAmazonで予約できるようになりました。
この書籍の企画は春からスタートしたもので約半年経ってここまで漕ぎつけたことになります。
今回は、この書籍の制作についてのプロセスを書いてみようと思います。
#といっても別にセンセーショナルな暴露話などではありません。

そもそもどうして書籍制作のプロセスを書こうと思ったかというと、最近個人的に力を入れている電子書籍に関連した部分があります。
電子書籍は個人出版の可能性を広げるものでもあり、事実それに向けて動いている方もいらっしゃると思います。
そこで、実際の書籍の制作プロセスをご紹介することで個人出版を考えている方の参考になることがあれば、と考え今回のエントリを考えたということです。

私が書く書籍はみな技術書なので、当然技術書についてのプロセスになります。
文芸書やコミックなど他のジャンルではまた全然違ったプロセスであることは明らかですが、ひとつの事例としてお考えください。
とはいえ、一口に「技術書」と言っても出版社さんによってプロセスに結構違いがあるようです。
出版社さんの他、内容(リファレンス系かステップ学習系かなど)や、共著かどうかによってもプロセスに違いがありそうです。あるいは担当となる編集者さんでも違うかも。
繰り返しになりますが、何はともあれ今回は『デザインの学校 これからはじめるFlashの本』について触れていきます。

さて、この書籍はロクナナワークショップ監修で、Flashの他DreamweaverやPhotoshopなど6種類(多分)のシリーズモノの1つとなっています。
出版社さんの意向では、このシリーズはかなりの初心者さんをメインターゲットとし、なるべく手を動かす(サンプルを作成する)ことを通して理解を深めるスタイルを目指すとのことでした。

とはいえ、Flashは(いや他のアプリもそうなのかもしれませんが)概念を理解せずに作業を行ってもキビシイ部分が結構あるのではないかと思うわけです。
そんなんで、まず早い段階で編集者さんと相談し概念に関する部分をどう扱うかを検討しました。
結論としては、第1章で基本的な概念を扱うことにしその後は必要に応じてコラムなどで補足するという形に落ち着きました。
ただし概念を扱うにしても簡単な作業は入れられるので、なるべく「手を動かす」ということを念頭において構成を考えるという方針です。

どこまで扱うか、つまり到達点についても検討しました。
最入門書(造語です。とても入門的な書籍の意)なんだから、アニメーションだけに注力しインタラクティブ(=ActionScript)は扱わなくていいのでは?という線も検討しました。
ですが、Flashコンテンツは大抵の場合インタラクティブな要素が入っています。また、CS5からはコードスニペットが追加され、スクリプト初心者にも敷居が低くなっているので最終的には簡単なボタン操作程度を扱うことに決まりました。
大まかな部分は対面の打ち合わせで決めて、その後はほぼメールベースのやり取りです。
それから、最初の方の打ち合わせでは契約の話もしました。
この書籍に関する契約で特筆すべきは、書籍の電子化に関する取り決めがあったことです。
一応説明しておくと、電子書籍化するということを前提としたものではなく、電子化することになった場合の取り決めです。
具体的な内容はここでは差し控えておきますが、何にしても私の執筆経験では初めての契約条項でした。

3月の中旬あたりにサンプルの扱いについて、独立した小サンプルをたくさん作る形にするか、書籍を通して1つの大きなサンプルを作る形にするかの方針を検討しました。
これについては次の理由から後者となりました。
各機能について単独の使い方を解説するだけではなく、実際のコンテンツ内でどのような使い方ができるのかを示すのがよいだろう、という判断です。

そうそう書き忘れていましたが、この書籍はCS4/CS5対応なんです。
コードスニペットを使う前提でActionScriptを扱うことにしましたが、CS4向けの対応なども考える必要があります。このような複数バージョン対応というのは案外厄介なのです。
リファレンス系の書籍では項目ごとに独立しているので、項目ごとに対応パージョンを記載すればいいのですが、今回のようなステップ学習モノだと少々扱いが難しくなります。
例えば、途中でCS5向けの機能を使った場合、CS4での代替手段を使うことになります。
ステップ学習では次のステップを学習する場合に前のステップのデータの続きを作ることになるので、途中でサンプルファイルが分岐することになります。
そんなことも含めて複数バージョン対応って案外神経を使うのです。

さて、思いつくまま書いていたら意外に長くなってしまいました。
この後構成を検討し台割に落としこんでいくのですが、それは次回に回そうと思います。

最後にもう一つ告知を。
Adobe認定スクールm-Schoolさんで「しっかり考える「電子書籍」の現状とこれから」というセミナー(勉強会?)をやらせていただきます。
電子書籍について著者、読者、Web制作者の立場から現状を把握し、これからを考えていこうと思っています。電子書籍は影響の範囲が広いので、色々な業種、立場の皆さまにご参加いただき情報交換ができる場にしていこうと考えています。
開催:10/2(土)
時間:13:00~16:00
料金:5,250円 (税込)
内容:→こちらからご確認ください別ウィンドウで開きます
よろしければ是非ご参加ください!

2010.10.13追記:10月分終了しています。